お二人は大学卒業後、数十年働いていたパナソニックを退職され、新たな一歩を地域おこし協力隊という公務員で弘前市に移住され活動を始められました。
お二人の活動は東奥日報という東北の新聞で取り上げられたり、弘前市のローカルFMラジオ局の番組に2回呼ばれたりと期待されています。
現在は、国の重要文化財の高照神社での宵宮にて竹細工を展示することに挑戦し、少しづつですが伝統技能の復興と地域振興に努めているのでした。
<上田倫未さんの活動報告>
学生時代に、グローバルに活躍される秦先生に影響を受け、英国に国費留学し、パナソニックで働きながら、世界12カ国を飛び回りました。結果、自分の育った日本の文化を継承発展させていくことが大切だと世界に貢献すると考えています。
私の活動ですが、こんなことをしています。
①竹を割る毎日は指かっくん
②お祭り騒ぎは地元愛
③竹を灯して世界平和
①竹を割る毎日は指かっくん
四月から地域おこし協力隊として、伝統工芸、津軽竹籠の技能伝承を担っています。二人しかいない70代80代のたった2人の師匠のもとに弟子入りし、毎日、作業場で根曲がり竹を割っています。一般的にタケノコといえば、孟宗竹。竹細工といえば、門松に使われるような真竹。どちらもパイプのように太いです。東北はそんな太い竹は自然には生育しておらず、笹のことを竹と呼びます。とくに雪深い地域では雪の重みで根っこが曲がる根曲がり竹を竹細工にもいたら文化があります。実は青森のりんご産業を支えてきた歴史があります。プラスチックが普及するまでは、竹かごをりんご収穫に使いました。軽くて丈夫です。そんな細い竹を四つ割りにして、それぞれの表皮を0.8ミリ厚に削いで竹ひごにします。それを編んでカゴを作ります。編むことよりも竹ひご作りが非常に難しく、手指を酷使します。おかげで腱鞘炎になり、それがひどくて、ばね指になりました。バネのようにかっくんかっくんと折れるように動き、柔軟性がなく痛いです。ついには、食器洗い中に落として割ってしまいました。いまは注射のおかげでマシになりましたが、手指を酷使する毎日はまだまだ続きます。心を折らずに頑張っています。

②お祭り騒ぎは地元愛
地域のお祭りが連日のようにあります。町内の電線に提灯をとりつけたり、文化センターのステージで音響や照明で舞台を盛り上げたり、ねぷたの山車を雨の中、はちまき巻いて押して街を巡行したりと、地域振興のお手伝いが目白押しです。

③竹を灯して世界平和
国の重要文化財である高照神社があります。この地を治めていた津軽藩の四代藩主を祀っています。明治に初代藩主も合祀しています。死去されてもなお、この地に平穏を届けたいという藩主の思いが形になって、神社となりました。しかしながら、高照神社の管理をしている高岡町会の人口減少と大雪被害で大きな損傷を受けて崩壊寸前です。そこで有志が集まって再建を目指して、クラウドファンディングや、雪下ろしや、清掃活動をしています。そんな活動に共感して何かできないかと思い、宵宮(よみや)と呼ぶ夜店が出るイベントにて、闇の中で神社の破損箇所を照らそうと思い至りました。四海波という竹籠を編んで、そこにLEDライトを入れて、たくさん設置しようとしています。四海波という編み方は、四方が平穏な波になるという浪曲の一節から命名された編みかごです。大分では大きな四海波が神社に奉納されるそうです。紛争絶えないこの現代、少しでも世界平和につながる活動をしたいと思います。
