2023年度研究成果

<女性リーダー育成の社会構成要素の探究―シティズンシップ教育と平和教育を基盤に>
1)研究目的

各国で女性の国家リーダーが誕生している(イギリス、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、ニュージーランド他)。日本でも政治分野で2018年に「候補者男女均等法」が導入されたものの効果は限定的で、経済分野での女性管理職比率も、世界平均の27.1%に対し日本は12%と大きく下回る。しかしながら、近年の日本で起こっている議論、即ち男女平等を促進するためには女性の指導者数を増やさないといけない、という議論は短絡的に過ぎる。女性リーダーの人数を増やすことで男女平等にするのではなく、教育を通して指導的立場に立つ女性を育成する必要があるのではないか。
そこで本研究では、日本の女性リーダー育成のための教育的課題を明らかにすることを目的としている。日本で女性リーダーが少ない理由には多様な原因が想定されるが、日本の女性リーダー育成のためには教育の影響が極めて大きいと考えられるからである。そのために、まず、アジア諸国と欧州諸国に関して量的調査と質的調査を実施し、比較研究上の基礎的な素材を得ることにも重点を置きながら、<予想として>女性リーダー進出が高い国々と低い国々の4類型化を図る。そして代表国ごとに各国の教育制度、学習プログラムおよび教育政策の中のジェンダー規範を調査し、女性リーダーを育てるための社会構成要素を比較検討し、日本に不可欠な教育的要素を探求することを企図している。

2)調査する国々
「女性のリーダーシップ(Women Leadership: WLS)向上」
のための研究課題の核心をなす学術的問いへの解答を見出すために、本研究は、ジェンダーに関する理論のみを抽象的に論じるのではなく、まず、ジェンダー平等の視点から、アジア諸国と欧州諸国で、かつ女性のリーダーシップが高いであろうと予測する国と低いであろうと予測する国の4類型化された国の比較調査を実施し、アンケート調査のクロス集計処理による要因分析を進めるとともに、その基因を探究する。対象とする国は以下の国々である。
ア)女性進出が高いアジア諸国(インド、スリランカ)
イ)女性進出が低いアジア諸国(日本、韓国)
ウ)女性進出が高い欧州諸国(スウェーデン、フィンランド、アイスランド、イギリス)
エ)女性進出が低い欧州諸国(フランス、ポーランド)

これら国々の基本情報をPDFファイルにて紹介する。
(基盤研究(B)(一般))

 

2024年5月3日